今の時代こそ文通を始めよう!文通の魅力から始め方まで丸ごと解説
インターネットやSNSが盛んになった現代において、文通は以前と比べて影をひそめてしまいました。
手紙と手紙のやりとりだからこそできるコミュニケーション、文通。
今の時代だからこそ、文通を始めてみませんか。
当コラムでは、文通の歴史から書き方まで、文通の魅力を丸ごと解説していきます。
文通というコミュニケーションツールが広く利用されて、その良さや魅力に一人でも多くの方に気づいていただけたら嬉しいです。
文通を始めたい方を支援するサービスも紹介しているので、文通に興味のある方は読んでみてくださいね。
<目次>
文通とは
文通とは、知っている人・知らない人に限らず手紙のやりとりをするコミュニケーションの方法の一つです。この点、SNSも不特定多数の方とコミュニケーションをとることが可能ですが、即時性という点で異なります。SNSは今の時間・気持ちを切り取りシェアしますが、文通は今の時間・気持ちを字に込め相手へ送ります。その意味で相手が手紙を読む頃には過去の内容となっているため時間のズレが生じますが、逆にそれがそれぞれの生活のペースを尊重した手紙が待ち遠しいリズムとなります。
その文通は古来から世界中でおこなわれてきました。
現代はメールやSNSなど電子の技術が発展し、手紙以外の方法でも想いを伝える方法があります。しかし、手紙が持つ魅力は今もなお人々を魅了してやまず、文通の文化は今でも続いています。
文通をする相手は、顔の知らない相手から実際に会ったことのある相手まで、その関係性はそれぞれです。「文通をしたい」という気持ちを持つ人同士が出会って文通をする場合や、なかなか会えない友人と手紙をやりとりして近況報告をし合う……など、文通とひとくちに言っても、その事情はさまざまあります。
いずれにしても、文通は義務や仕事ではありません。コミュニケーションのひとつです。人によっては趣味でもあります。
文通は、その人の人生をささやかに彩るものです。文通によって人生が大きく変わるということは少ないかもしれませんが、心を豊かにするものであることは確かでしょう。
文通の魅力とは?
電子技術が発展している現代で、なぜ紙とペンを使ってやりとりをするのでしょうか。
それは、やはり文通にしかない魅力があるからです。
文通にはどんな魅力があるのか、どんな楽しみがあるのかを紹介していきたいと思います。
言葉を書くことを楽しむ
あなたは、紙にペンで文字を書く機会がどのくらいありますか?
現代において文章を作るというと、電子機器を使った「入力」の作業を指すことが多いです。紙とペンを使って文章を書く機会は、昔に比べると減ってしまいました。
そんな現代だからこそ、紙にペンで文章を綴ることは特別なことのように感じるでしょう。自分で選んだ便箋に、お気に入りのペンで、ゆっくりと時間を使って想いを言葉にしていく体験は、文通でしか味わえないものです。また、相手に伝えたいことを文章にするというのも、普段の生活の中ではなかなかできないことです。
何を書こうか、何を伝えようか……相手のことを考えながら言葉を綴る一瞬は、美しい時間のように思えるでしょう。たとえ文章を書くのが苦手だとしても、文章として気持ちを表現することが、また楽しいと思えるはずです。
会話やメール、SNSのやりとりのようにスピード感のある言葉のラリーではなく、一通の便箋に時間をかけて想いをまとめる。文通でしか味わえないゆったりとしたコミュニケーションは、時間のない現代からこそ優しいものに思えるのかもしれません。
便箋を選ぶことを楽しむ
便箋を選ぶことも、文通の楽しみのひとつです。
文房具売り場の便箋コーナーに行ってみましょう。普段は使わないような綺麗な便箋がたくさん売っています。きっと、どれを買おうかとても迷ってしまうかもしれません。何種類もある便箋の中から1つや2つだけを選んで購入するのが、さりげない楽しみになるでしょう。
最近は、100円ショップの便箋もとても可愛らしいものが増えています。100円ショップのひとつであるダイソーでは、かなりの頻度で新しい便箋が発売されます。行くたびに新しい便箋が売っているので、ついつい買い占めたくなるかもしれませんよ。ぜひチェックしてみてくださいね。
ダイソーの便箋
便箋だけではなく、切手も素敵なデザインのものが発売されています。
画像引用:郵便局ホームページ
こちらは郵便局で発売された『星の王子様』の切手です。この切手を貼って手紙を送れば、優しい気持ちが伝わるような気がしませんか?
お気に入りの便箋をそろえたら、その便箋に字を書いてみましょう。気持ちが引き締まるような、楽しいような、不思議な感覚にとらわれるはずです。
最後に、封筒をとじるためのシールにもこだわってみてください。きらきらとした箔押しがついたものや、シーリングスタンプ風のシールなど、お気に入りのデザインのシールを選びましょう。想いのこもった手紙をお気に入りのシールで閉じ込める瞬間、不思議な、満たされるような感覚を抱けるかもしれません。
一気におしゃれな手紙に変身!シーリングスタンプ
ペンにこだわる
文通をしている人のなかには、「文通用のペンを持っている」という人がいます。
ペンにこだわることも、文通の楽しさのひとつ。書きやすいペンや可愛いペンなど、お気に入りのペンで文字を書くことで、気分がうきうきしてくるでしょう。
ペン先が紙の上をすべったときの音が、ペンによって違うので、音の違いを楽しむのもよいですね。
最近は、万年筆も人気です。若者向けの万年筆も発売されており、気軽に使えるものもあります。デザインもさまざまあり、持っているだけでるんるんとしてくるような、素敵な万年筆がたくさんあります。セーラーやパイロットからは安価なものも多く発売されているので、チェックしてみてはいかがでしょうか。
特別なペンでなくても、100円ショップのペンでも大丈夫です。「文通用のペン」を決めておくだけで、手紙を書く時間が特別なもののように思えてくるでしょう。私のお気に入りは三菱のシグノ0.38mmです。手紙を書くときだけそのペンを手に取るのですが、気を引き締めることができます。
どんなペンでも大丈夫です。お気に入りの1本を決めてみてはいかがですか。
手紙が持つあたたかさ
手紙には、手紙にしかないあたたかさがあります。
ポストを開けたとき、ひとつの綺麗な封筒が入っている。それが文通相手からの手紙だと気付いた瞬間の「あっ!」という感動は、何度体験してもたまらないものです。
そして、封筒を手に取ったときのかすかな重みに抱く高揚は、手紙にしか味わえないものです。「この中にはどんなメッセージが詰まっているのだろう」と期待しながら封を切る瞬間のドキドキは、手紙の醍醐味と言えるでしょう。
便箋や封筒を、どんな気持ちで選んだのだろうと想像するのも楽しいですね。文章から伺える性格とギャップのあるデザインの便箋だったり、綺麗なデザインの便箋だったり、その便箋から想像できる手紙の背景を楽しむのもまた趣があるのではないでしょうか。
そして手紙は、唯一自筆でメッセージを伝えることのできる手段です。字から感じる人柄というものがあると思います。自筆の字からは、そのメッセージに込められた気持ちを、より強く感じ取ることができるでしょう。
SNSやメールでのメッセージでのやりとりも、心を通わす方法のひとつ。しかし、手紙でしか味わえない体験が、文通ならば得られるのです。
文通ブームを振り返る
文通そのものは、昔からおこなわれていました。昔は、顔を知っている相手との連絡手段としての側面が強かったように思います。
現代になると、顔の知らない相手と文通をするようになりました。いわゆる、ペンフレンドやペンパルと呼ばれるものです。現代では、文通というとペンフレンドとのやりとりをイメージすることが多いのではないでしょうか。今も変わらずあり続ける文通サークルや、新しい匿名文通の形「文通村」なども誕生していますので、その歴史を振り返ってみましょう。
ペンフレンドと文通を楽しむ人々
ペンフレンドの始まりは、戦後間もないころでした。
高校生600人による「郵便友の会」が生まれたのです。手紙を通して国内外の友愛を深めようという志のもと、郵便友の会は結成されました。郵便友の会はのちに「青少年ペンフレンドクラブ」となります。
郵便友の会は、結成間もない頃は、戦争によって辛い想いをしている人々を励ます活動を中心としていました。活動の中には、恵まれない人たちや苦しんでいる人たち、自分と似た立場にある人たちなどに手紙を送り、心の繋がりを広める活動がありました。そうした活動が、ペンフレンドの概念を作り上げていきます。
平成13年に、「郵便友の会」は「青少年ペンフレンドクラブ」と名前を変えます。このころにはすっかり、ペンフレンドは馴染みのある言葉となっていました。国内外の文通友達を示す名称としても使われているようになりました。
文通ブームは広がりを見せ、雑誌の投稿欄には「ペンフレンド募集」といったコーナーがもうけられていました。そこに掲載されている住所に手紙を送り、新たなペンフレンドを作る人が多かったのです。
インターネットが普及した今の時代
平成の後半になってくると、インターネットが勢いよく発展していきます。
それにともない、メッセージのやりとりは手紙ではなくメールや掲示板でのやりとりが増えていきました。最近はTwitterやInstagramなどのSNSが爆発的に流行しており、顔の知らない相手と繋がる手段といえばSNSというのが一般的になってきています。
個人情報に関する扱いも、現代は厳しくなりました。不用意に自分の情報を晒すことに、危険意識を抱く人が増えてきたのです。そのため、以前まではあった、雑誌の「ペンフレンド募集」コーナーは消えていき、ペンフレンドという言葉もあまり見なくなってしまいました。
やがて、自然と文通の勢いは衰えていってしまいました。
しかし、そんな現代だからこそ、文通に惹かれる人が増えてきています。
手紙を書く機会がなくなった現代の人にとって、手紙は新鮮なものに思えるでしょう。電子とは違う"何か"を感じ取れる手紙に、魅力を感じるのです。
このような時代の流れから、現代は「文通をやってみたい」と思いつつも、「文通相手をどうやって探せばいいのだろう」と疑問を抱く人が多いのではないでしょうか。
文通に興味を抱きつつも、「私が実際にやることがなさそう」と諦めてしまう人が多い、現代にはそのような印象があります。
文通相手はどうやって探す?
「文通をしてみたい」と思っても、昔のように雑誌投稿欄の募集もなくなってしまった今、どうやって文通相手を探せばいいのかわかりませんよね。
そこで、文通相手を探せる場所を紹介していきます。主に2種類に分かれます。一つは、個人情報をやり取りせず事務局を経由することで実際に手紙がポストに届く匿名系。もう一つは、今までと同じ個人情報を交換する際に実名系です。どちらにもメリットデメリットがあるので、自分に合った方を試してみましょう。
匿名系の文通サービス
文通村
文通村は、会員登録することによって文通村の住人になれます。
文通村の住人になることで文通村の住所がもらえ、ペンネームも自分で決められます。そして、文通をするときはその文通村の住所宛に手紙を送ることになります。
つまり、個人情報のやりとりをすることはありません。手紙は文通村を仲介してやりとりされます。個人情報の扱いが気になる人も、安心して文通をおこなえる仕組みが作られているのです。
文通相手は月2回送られてくる会報か、ホームページの村人検索から探すことができます。年代や性別、趣味から探すことができるので、話が合いそうな人を探しやすいです。
文通村の特徴として、会員の年代層が広いことがあげられます。10代から80代まで幅広い年代層の会員がいます。会員数は約1800名(2020/6/1現在) 2300名(2021/7/26現在)ほどです。
実名系文通サービス
青少年ペンフレンドクラブ
https://www.pfc.post.japanpost.jp/index.html
現代の文通文化の基になったと言ってもよい青少年ペンフレンドクラブ。現在は日本郵便が運営しています。
青少年ペンフレンドクラブは、毎月会報が送られてきます。そこに国内外の文通相手が紹介されているので、気になった相手に自己紹介を送ります。事務局の方で問題なしと判断されれば、文通相手として成立。そこからは事務局の仲介は入りません。
文通開始までにワンクッション入るので、安心感がありますね。海外の相手とも文通をできるのが最大の特徴と言ってもよいでしょう。
青少年ペンフレンドクラブでは、文通だけではなくさまざまなイベントを企画しています。会員登録も無料なので、気になる方はチェックしてみましょう。
SNSやインターネットで探す
SNSやインターネットで出会うというパターンもあります。
この場合はしっかりとした信頼関係が前提にあるので、はじめから文通を目的として出会うことは少ないかもしれません。しかし、ネット上でのやりとりでお互いを知ってからの文通となるので、深いつながりになることも多いのではないでしょうか。そして文通が始まれば、実際の住所と名前を交換してスタートです。昔の文通雑誌を見て手紙を送る形の現代版ですね。
文通の書き方
文通を始めたくても、手紙を書きなれていなくて何を書いたらいいのかわからないという方も多いのではないでしょうか?
文通にルールや定型文というものはありません。気持ちよく文通をするには、ちょっとした心づかいが大切になってきます。
ここでは、文通の書き方のアドバイスを紹介していきます。
初めて文通する相手へのあいさつ
初めての文通相手には、まずはあいさつをしましょう。
挨拶は形式ばったものは必要ありません。自分の言葉で書いてみましょう。「はじめまして、私は〇〇です」と簡単な言葉でも大丈夫です。
次に、なぜその人と文通をしたいと思ったのかを伝えてみましょう。文通村では、趣味から相手を検索できるようになっています。たとえば相手の「映画鑑賞」という趣味に惹かれたとしたら、「自分も映画を観るのが好きです」などと伝えてみてはいかがでしょうか。同じ趣味を持つ者同士、お話がしてみたいと伝えてみれば、話が広がっていくかもしれません。
そして、自分自身の自己紹介もするとよいでしょう。自分のことを知ってもらわなければ、相手も何を話せばいいのか迷ってしまうかもしれません。自分の好きなこと、職業や勉強していることなど、簡単に伝えてみましょう。
文通のやりとりも対面のやりとりと同じで、はじめの内は探り探り会話をすることになるかもしれません。相手の言葉遣いや字の形から、丁寧に相手のことを読み取って交流を深めていきましょう。
素直に自分のことを伝えよう
手紙を書くと緊張してしまうかもしれませんが、素直に自分のことを伝えるようにしてみましょう。もちろんある程度のマナーは大切ですが、言葉を飾る必要はありません。自分の話したいことを、自分の言葉で伝えてみましょう。
言葉は赤裸々に書いてしまっても大丈夫です。口に出して言うのが難しい言葉も、手紙でならば伝えらえるということもあります。あまりにも重い感情をのせてしまうと相手も困ってしまうかもしれませんが、普段よりも2割増しくらいで素直に表現してみてはいかがでしょうか。
言葉だけでなく、イラストや写真を送るのもよいです。自分の似顔絵や、旅行先で撮った写真などを送ることで、相手により自分のことが伝わります。
綺麗な文章を書こうとがんばってしまったり、自分のよいところだけを見てもらおうとすると、疲れてしまうかもしれません。そして、文章に気持ちが乗りづらくなり、相手にも伝えたいことが伝わらないです。肩の力を抜いて、素直な気持ちを言葉にしてみましょう。
相手に興味を持とう
文通はコミュニケーションなので、一方的に自分のことを話すばかりでは続きません。相手に興味を持つことが大切です。
自分の伝えたことに言葉がかえってくることで、「話してよかった」と思うはずです。相手も同じ気持ちでいます。対面で話すときのように、相槌を打ったり言葉のラリーをすることは難しいかもしれませんが、相手の手紙の内容に興味を持っているということを、伝えるようにしましょう。素敵だと思った、面白いと思った、と簡単な感想でも大丈夫です。
文通は壁打ちではなく、人と言葉や心を交わすものです。顔が見えずとも、手紙の先には人がいることを意識してください。
文通が長続きするコツは?
「文通を始めたもののいつの間にか途絶えてしまった……」
ということになったら悲しいですよね。
せっかく文通を始めたなら、長く続けていきたいもの。
ここからは、文通を長続きするコツを紹介します。
手紙を書くことを楽しむ
文通を長続きさせるには、手紙を書くことを楽しむことが大切です
義務感に駆られて書くようになっては、つまらなくなってしまいます。文通は紅茶にそえるジャムのようなもの。人生の中のゆったりとした時間に加えるちょっとした楽しみです。楽しんで書くことが一番です。
私も文通をしていて、続かなかったことがありました。当時の私はまだ小学生でした。そのときは、義務感を覚えて書いていたため、文通を楽しむことができなかったのです。手紙を書く楽しみがわからないことも、伝える内容がなくて必死に絞り出すのも、当時の私には苦痛だったのかもしれません。
大人になって、また文通を始めました。今は、手紙を書く楽しさがわかってきたような気がします。ひとつの封筒にはおさまらないくらいに伝えたいことが溢れています。そのせいか、頻繁ではないものの、長く文通が続いています。
大切なのは、楽しむこと。
「今は書けないかもしれない」というときは、休んでもいいと思います。
「書きたい!」というときに手紙を書いてみましょう。
文通村では、文通相手を探すのも簡単なので、たくさんの方とできてしまうのですが
目指すべきものは文通相手の数ではなく、文通を楽しんでいる自分ということを忘れないでくださいね。
お互いのペースを大切に
文通を続けるコツは、お互いのペースを大切にすることです。
一週間経っても返事がこない、一カ月経っても返事がこない……とあまり間隔を意識しないほうがよいかもしれません。
文通のことで常に頭をいっぱいにしている必要はありません。ふとポストを見たら手紙が入っていた、というこの瞬間が、きらきらとしたもののように思えるはずです。
もちろん、送る側も同じです。
「早く書かなくちゃ」、「もう一カ月も手紙を書いていない」という焦燥感は、文通をつまらなくしてしまいます。
心にゆとりのあるときに、ゆっくりと手紙を書いてみましょう。
心づかいを忘れずに
文通も対面のコミュニケーションと同じで、心づかいが大切です。お互いに心づかいをすることで、気持ちよく文通をすることができます。
寒くなってきたら「寒くなってきたので、お体に気を付けてお過ごしください」と添えれば、相手も嬉しい気持ちになるでしょう。
返事が遅くなったときには簡単に謝罪を添えたり、相手に素敵な心づかいを受けたときにはそのことに感謝を伝える……など、ちょっとしたことですが、大切なことです。
普段生活していると、「ありがとう」、「ごめんね」と言うことがあると思います。それを手紙でもやってみてください。
文通の体験談
「文通って実際のところどうなんだろう?」と気になる人もいるかと思います。
ここからは、私の文通の体験談をご紹介します。
失敗してしまった1度目の文通
このコラムを担当している「私」(女)は、今までに2回文通をしたことがあります。1度目は小学生の頃、2度目は成人してからです。2度目の相手は、今でも親交があります。
1度目の文通は、あまり続きませんでした。相手は同じ習い事をしていた同性の友人。週一で習い事に通っていたので、そのときにお互いに手紙を交換していました。顔見知りの相手と文通をするというパターンですね。
彼女と文通を始めたきっかけは、彼女から「文通をしよう」と誘われたこと。当時は交換日記やプロフィール帳というものが流行っていて、顔を知っている友人と紙でメッセージのやりとりをするというのがよくおこなわれていたのです。
私は彼女のことを友人と思っていたし、彼女も私のことを好いていてくれたと思います。しかし、文通はあまり長くは続きませんでした。
実は、小学生のころの私は、そもそも文章を書くということがとても苦手でした。そしてあまり心に余裕のない子どもだったのです。自分の行動がすべて、母親に認めてもらうための行動でしたし、常に周囲の目を気にして「好きなものを好き」と言うこともできない性格でした。そのときはわかっていませんでしたが、ゆったりとした時間というものを持っていなかったのです。
そのため、手紙を書くという行為が、知らずのうちに私のとって負担になっていました。彼女のことが好きだから文通を途絶えさせたくはないけれど、手紙を書くのが辛い。そんな焦燥感が、文通を終わらせてしまったのです。
手紙を書く楽しみを知った2度目の文通
時は流れて私は成人し、大人になりました。
このころの私は、子どもの頃に比べて心に余裕が生まれていました。引っ越して、一人暮らしをはじめました。周囲の友人たちも非常におおらかで、好きなことを好きと胸を張って言えるようになりました。
もうこのころには世間にインターネットが浸透していて、SNSもみんな使っていました。私もTwitterを始めていて、職場の友達と繋がっているアカウントと、Twitter上で出会った同じ趣味を持つ人と繋がっているアカウントの2つを持っていました。
2度目の文通相手は、そのTwitterで出会った相手です。「文通をしている」という意識はお互いに持っていないと思います。ただ、数カ月に1度、手紙のやりとりがあるのです。
詳細は伏せますが、私も相手も創作活動をしていました。元々は私が彼女のファンで、一方的に作品を追っていたのですが、縁があって彼女と仲良くなりました。そして、私の作品のお手伝いを、彼女にしていただけることになったのです。出来上がった作品をその方に届けるために、彼女に住所を教えてもらいました。これが、手紙のやりとりが始まるきっかけでした。
彼女とはTwitterでも繋がっているので、Twitter上でもやりとりをしています。ときにはメールやDMで長文のやりとりをすることがあります。それでも、手紙で伝えたいことがでてきたときには、手紙を送るのです。
私は彼女のことが好きなので、SNSでもメールでも、メッセージをもらったら舞い上がるように嬉しい気持ちになります。それでも、手紙でもらったメッセージはやはり特別なもののように思えてしまいます。何度も何度も読み返して、大切にしまっておきます。
私が彼女と今でも親交があるのは、もちろんお互いにお互いを尊重し合っていることもあると思います。ただ、「文通をしなきゃ」とは意識していないので焦燥感がないこと、今の私が心に余裕があること、これらの要因も大きなことのように思います。
手紙がある生活は豊かなもの
大人になってから、手紙をもらう機会が増えました。2度目の文通相手もですし、創作活動を本格的に始めたこともあってか、ほかにも手紙をいただく機会が増えたんですよね。
SNSを当たり前のように使うようになった現代において、手紙が特別なメッセージを意味するものに変化した……というのも、手紙をもらう機会が増えた理由の一つだと思います。少し前よりも、手紙を出そうと考える人が少しだけ増えてきたように感じているのです。
1度目の文通と2度目の文通の間には、約15年の空白期間があります。この間は文通をしていませんでした。手紙とはほとんど縁のない生活をしていたと思います。
今までの人生を振り返ってみて思うのが、手紙は人生を豊かにしてくれる、ということです。手紙を書くときのゆっくりとした時間、手紙でしか伝えられないような素直な言葉を書き記すという行為、手紙をもらったときの喜び、これらの体験は間違いなく私の人生を豊かにしてくれています。15年の空白期間よりも、今のほうが確実に楽しいのです。
まとめ
文通にはたくさんの魅力があります。
手紙でしか味わえない体験は、あなたの人生を豊かにしてくれるでしょう。
今は匿名で文通ができるサービスも充実しているので、文通に興味がある方はサービスを利用してみてはいかがでしょうか。
ぜひ、人生にささやかな楽しみをプラスしてみてください。