【例文あり】手紙の書き方とは?基本的なマナーまとめ
「文通をはじめたいけれど、手紙の書き方がわからない」「突然手紙を出すことになったから、手紙のマナーを知りたい」このように思っている方はいませんか?
手紙のマナーは細かいところもあり、いきなり書こうとすると不安がいっぱいあると思います。そこで、当コラムでは手紙の書き方をまとめました。本文の書き方から宛名の書き方まで、プライベートでもビジネスでも使える手紙の書き方を紹介していきます。
これから手紙を書こうとしている方は、ぜひ参考にしてくださいね。
【目次】
【例文あり】手紙の書き方とは?基本的なマナーまとめ... 1
忌み言葉以外に注意したい表現2:漢字の一部にも注目... 27
手紙にはマナーが必要?
普段、あまり手紙を書かないという方は、「手紙を書くときにはマナーをしっかり守らなくちゃだめ?」と不安に思うこともあるでしょう。
マナーは必ずしも厳守しなければいけないというものではありません。たとえば、家族や親しい友人に送る手紙は、自由に書いても大丈夫です。
ただ、目上の方に書く手紙や、改まった場面で送る手紙の場合は、マナーを守って書いたほうがよいでしょう。きちんとした手紙は、相手によい印象を与えます。
そのため、手紙は場面に合わせて書くといいですよ。
【縦書き】手紙の基本的な構成
まずは、縦書きの手紙の基本的な構成を解説します。
縦書きの手紙は、きちんとした場面で書く手紙に多い手紙です。そのため、縦書きの手紙はマナーを守りながら書くといいですよ。
縦書きの手紙は、ざっくりと分けると4つのブロックに分かれます。
前文
手紙のはじめに書く、あいさつの部分です。
一番はじめに、「拝啓」「啓上」などの「頭語」と呼ばれる言葉を書きます。
続いて、時候の挨拶を書きましょう。季節に合わせたあいさつを書いてみてください。たとえば秋の時候の挨拶なら、「金木犀の香りに秋を感じるころとなりました」といったように、秋を感じさせる挨拶を書くといいですよ。
ただ、お詫びの手紙やお見舞いの手紙などの場合は、時候の挨拶をカットしてすぐに本題から入ります。このように、時候の挨拶を書くのが適切でないと思われるシーンでは、必要に応じて省略しましょう。
主文
主文では、用件を書きます。
冒頭に起語を書くと「ここから本題です」と相手に伝わりやすくなります。起語には「さて」「このたびは」「さっそくですが」といった言葉がよく使われます。
末文
末文は手紙の締めくくりにあたる部分です。
プライベートな手紙では、相手の健康や幸せを祈る言葉や、今後に繋げる言葉などを書くとよいでしょう。
なお、結語は、手紙の冒頭に書いた頭語とセットになっています。手紙のシーンごとに使用する頭語と結語はある程度決まっているので、次項にまとめた例文を参考にしてください。
後付
後付けでは、自分の身元と日付を書きます。
- 日付
- 差出人
- 宛名
の順番で書いていきましょう。
例文一覧
ここまで、手紙の流れについて解説してきましたが、実際にどのような文章を書けばいいか迷ってしまう方もいるでしょう。そこで、ここからは例文を紹介します。
頭語・結語は定型文のようなものですが、時候の挨拶や末文はある程度自由に書いてもよいので、ここで紹介した例文をアレンジして書いてみてくださいね。
頭語・結語
頭語・結語はシーンや相手との関係によって、ある程度使用するものが決まっています。たとえば、一般的な手紙であれば頭語に「拝啓」「拝呈」「啓上」などを使い、結語に「敬具」「敬白」などを使います。組み合わせは自由です。
以下に頭語・結語をまとめたので、参考にしてください。
|
頭語 |
結語 |
一般的な手紙 |
|
|
改まった手紙・丁寧な手紙 |
|
|
緊急の手紙 |
|
|
返信の手紙 |
|
|
再信の手紙 |
|
|
略式 |
|
|
略式は、用件のみを述べる手紙で使います。前文の部分をカットするので、「あいさつを省かせていただきます」といった意味で使う言葉です。
そのため、目上の相手に送る手紙や、お礼の手紙、お詫びの手紙にはあまり向いていません。親しい相手に送る手紙によく使われます。
また、結語に「かしこ」というものがあります。上記の表には載せていませんが、あらゆる場面で使える結語です。ただ、「かしこ」は差出人が女性の場合に使用する結語で、使用することにより女性らしさを強調する手紙になるので、ビジネスの手紙には向いていません。
前文(時候の挨拶)
時候の挨拶は、決まった文言はありません。季節に合わせた言葉を自由に書いてみましょう。季語を意識してみると、風流な時候の挨拶ができるかもしれません。
以下では、例をご紹介します。なかなか言葉が浮かばないという方は、以下の例文をアレンジしてみてください。
1月 |
|
2月 |
|
3月 |
|
4月 |
|
5月 |
|
6月 |
|
7月 |
|
8月 |
|
9月 |
|
10月 |
|
11月 |
|
12月 |
|
「~の候」はビジネスシーンで特に活躍します。改まった印象を与える言葉なので、プライベートで使うと少々堅く感じるかもしれません。
末文
主文のあとに書く末文は、
- 今後の愛顧を求める言葉
- 相手の健康・繁栄を祈る言葉
- 結びの挨拶
これらの言葉を書いたあとに結語で締めると綺麗にまとまります。必要に応じて、一部省略しても大丈夫です。
例文をまとめたので、参考にしてください。決まったルールはないので、相手との関係性やシーンに合わせて自由に書きましょう。
今後の愛顧を求める言葉 |
|
相手の健康・繁栄を祈る言葉 |
|
結びの挨拶 |
|
【横書き】手紙の基本的な構成
横書きで書く場合も、縦書きと基本的な構成は変わりません。
- 前文
- 主文
- 末文
- 後付
の順番で書くとよいでしょう。
一般的に横書きの手紙はカジュアルなものです。親しい間柄の相手に送ることが多いので、そこまで体裁にこだわらなくてもよいでしょう。頭語・結語を省いても大丈夫です。
挨拶も硬くなりすぎないようにするのがおすすめ。時候の挨拶として、「~候」というものがありますが、プライベートに使うには少々堅いと感じられるかもしれないので、親しみやすい表現をするとよいでしょう。
宛名の書き方
封筒に書く宛名の書き方にもマナーがあります。縦書きの場合と横書きの場合それぞれの、宛名の書き方を見ていきましょう。
縦書き(和封筒)
まずは和封筒の宛名の書き方を解説します。
和封筒の場合は、縦書きで宛名を書きます。
- 封筒の左上に切手を貼ります。
- 住所は、郵便番号の右端と同じ位置から書き始めます。番地や部屋番号などの数字は漢数字で書くようにしましょう。
- 宛名は住所よりも大きな字で、郵便番号から一字分空かした位置から書き始めます。
- 誰かと同居している場合は、右上に小さく「〇〇様方」と書きます。
郵便番号枠がない場合は、上記の図の郵便番号枠と同じ位置に郵便番号を記入しましょう。郵便番号の右端と、住所の書き出しの位置をそろえると、見栄えがよくなります。
裏面には、差出人の住所を記入します。
- 左側に字文の住所と名前を書きます。郵便番号の右端から書き始めましょう。
- 封かん日を書く場合は、左上に記入します。
- 封締めは「〆」がよく使われています。「×」にならないように注意して書きましょう。お祝いの際には、「寿」「賀」で封締めをします。
正式なマナーでは、差出人の住所は封筒の中央に記入します。ただ、最近は郵便番号枠が左側にあるものが多いので、郵便番号枠がある場合は左側に書くとよいでしょう。郵便番号枠のない封筒を使う場合は、封筒の中央に郵便番号と住所、宛名を書くとよいです。
横書き(洋封筒)
カジュアルなシーンで使われることの多い洋封筒では、横書きで宛名を記入します。お礼状で使うこともあると思いますので、マナーをチェックしておきましょう。
- 封筒の右上に切手を貼ります。
- 郵便番号は2文字分ほどスペースを空けて、左側に記入します。
- 住所は郵便番号の左端と同じ位置から書きましょう。番地や部屋番号は算用数字を使用します。
- 宛名は住所よりも大きな字で。
- 封筒の中央下に、住所を記入します。
- 洋封筒の場合は封締めはなくてもOKです。プライベートな手紙の場合は、シールを封締め変わりに使うこともあります。
- 封かん日を入れるときには、左上に入れてください。
ビジネスの手紙の書き方
ビジネスシーンやフォーマルなシーンで手紙を書くこともあるでしょう。どのような場面でも基本的な書き方は変わりませんが、使用する言葉が少々変わります。ここからは、ビジネスの手紙の書き方をまとめてくので、参考にしてください。
前文
まずは挨拶として、前文を書きます。はじめに書く頭語は、相手との関係性に合わせて選ぶとよいです。一般的な手紙では「拝啓」、目上の相手には「謹啓」を使用するといいですよ。
時候の挨拶は、当コラム前半で紹介したものを使用してもよいです。改まった手紙の場合は、「~候」といったものを使ってもよいでしょう。
また、ビジネスの手紙の場合は、相手の繁栄・健康を祝福する表現でまとめるようにします。この点がプライベートな手紙とは異なるので注意しましょう。
- プライベートな手紙:お変わりなくお過ごしでしょうか。(疑問・問いかけ)
- ビジネスの手紙:お変わりなくお過ごしのことと思います。(祝福・確信)
ただし、お詫びの手紙やお見舞いの手紙などの場合、時候の挨拶は省いてすぐに主文を書きます。
主文
主文は手紙の本題にあたる部分です。
まずは「このたびは」「さっそくですが」といった起語から書き始めます。
起語に続いて用件を書きますが、用件はなるべく簡潔に書きましょう。また、1つの手紙に2つ以上の用件を書かないように気をつけてください。2つ以上書いてしまうと、相手に内容が伝わりにくくなってしまいます。
末文
末文は、結びの挨拶にあたる部分です。
- 今後の愛顧を願う言葉
- 相手の発展・繁栄を願う言葉
- 用件を結ぶ言葉
- 結語
の流れで書いていきましょう。必要に応じて省略してもよいです。
結語は頭語に合ったものを選ぶようにしてください。
後付
最後に後付けを書きます。
- 日付
- 会社名
- 名前
- 相手の部署名
- 宛名
の順に書いていきましょう。
このとき、相手の名前は自分の名前よりも大きく書くようにしてください。
ビジネス手紙の宛名の書き方
封筒の宛名は相手にとって第一印象になるので、重要な部分です。そのため、マナーに沿って書くようにしましょう。
ここでは、ビジネスの手紙の宛名の書き方を解説します。ビジネスの手紙の場合は、和封筒を使って宛名を縦書きにするのが一般的です。
- 封筒の左上に切手を貼ります。
- 住所は、郵便番号の右端と同じ位置から書き始めます。番地や部屋番号などの数字は漢数字で書くようにしましょう。
- 所属部署名は、会社名と部署名の間に一文字分スペースを空けるか、会社名と部署名を行を変えて書くようにします。
- 役職名は、長い場合は名前の右に書き、短い場合は名前の上に小さめの文字で書きます。
- 宛名は住所よりも大きな字で書き始めます。
裏面には、差出人の住所を記入します。
- 左側に字文の住所と名前を書きます。郵便番号の右端から書き始めましょう。
- 封かん日を書く場合は、左上に記入します。封かん日を記入すると丁寧な印象を与えられます。
- 封締めは「〆」がよく使われています。「×」にならないように注意して書きましょう。お祝いの際には、「寿」「賀」で封締めをします。
忌み言葉に注意
最後に、忌み言葉について解説します。
忌み言葉とは、縁起がよくない言葉のことです。シーンによって縁起が悪いとされる言葉は異なるので、シーン別の忌み言葉を確認しておくようにしましょう。
ここでは、シーン別の忌み言葉を解説します。
結婚祝いの忌み言葉
別れる・分かれる・離れる・壊れる・割れる・切れる・飽きる・冷める・終わる・去る・帰る・戻る・繰り返す・滅びる・苦しむ・短い・悲しい・薄い・もう1度・再び・焦る・重ねる・度々・くれぐれも・途絶える・逃げる・皆々様・近々
結婚祝いの忌み言葉は、「別れ」や「繰り返し結婚すること」を連想させる言葉が忌み言葉とされています。
出産祝いの忌み言葉
流れる・失う・破れる・消える・死ぬ・苦しむ・落ちる・滅びる・早い・短い・四・九・悲しむ・痛ましい
出産祝いの場合は、流産や死産を連想させる言葉を避けて書くようにしましょう。
退院祝いの忌み言葉
死ぬ・苦しむ・寝る・悪い・長い・滅びる・弱る・折れる・繰り返す・再び・度々・落ちる・尽きる・枯れる・四・九
退院祝いの場合は、死や苦しみを連想させる言葉を避けましょう。
入学・就職祝いの忌み言葉
変わる・崩れる・終わる・破れる・負ける・落ちる・すべる・消える・変更・取り消す・中止
入学・就職祝いでは、将来の苦労や不振を思わせる表現を避けましょう。
お見舞いの忌み言葉
続く・重なる・重ねて・重ねがさね・繰り返す・再度・度々・またまた・弱る・衰える・終わる・消える・落ちる・長引く・長い・寝付く・失う・見失う・四・九
お見舞いの手紙の場合は、病気や怪我を連想させる表現を避けましょう。
お悔やみの忌み言葉
死・死亡・四・九・度々・ますます・重ねがさね・返す返す・次々・続いて・引き続き・近々・繰り返す・再び・追って・くれぐれも・まだまだ・いよいよ・ときどき・しばしば・さらに・生きる・生存
お悔やみの場合は、死や不幸が続くことを思わせる言葉や重ね言葉を避けるようにします。また、「喜ぶ」「楽しい」などシーンに合わない言葉も避けてください。
忌み言葉以外に注意したい表現1:ネガティブな言葉
特別なシーンの手紙には、できる限りネガティブな言葉は書かないようにしましょう。
相手の悪口はもちろん、「辛い」「苦しい」といった言葉もなるべく避けるようにしてください。
また、やってしまいがちなのが、自分や身内の卑下です。「うちのできの悪い子どもとは違って……」「私なんか……」といった自分や身内の卑下は、相手にとって気持ちのいい言葉ではありません。
相手に対しても自分に対しても、ネガティブな言葉は避けるようにしましょう。
忌み言葉以外に注意したい表現2:漢字の一部にも注目
少し細かいところではありますが、漢字の一部にも注目してみてください。
たとえば、「忙しい」という漢字のつくりは「亡くなる」という言葉です。忙しい自体は忌み言葉ではありませんが、「亡」という漢字は手紙で使用するには適切とはいえません。
そのため、このように漢字の一部に縁起の悪い漢字が含まれている場合は、ひらがなに開くとよいでしょう。「いそがしい」と書けば、「亡」の使用を避けられます。
まとめ
手紙の書き方についてまとめました。
手紙は、相手に思いを伝えることが大切です。ただ、場合によってはマナーを意識したほうがよいことがあるので、基本的な書き方を知っておくとよいでしょう。
当コラムでは、さまざまなシーンで使える手紙の書き方や例文を紹介してきました。当コラムを参考に、ぜひたくさん手紙を書いてみてくださいね。ただ、文通村でのお手紙交換では、全国へのお友達に手紙を書くわけですから形式ばらずにお互いの思いや気持ちを伝えあったりすることが中心です。あまり形式ばらずに肩ひじ張らずにお手紙を書いてみてくださいね。